「なんか、外せない用があるって
  言ってた。」

真瞬君がそんなことを言っていた気がする。

 「あ、翡波!
  ノート返すね!」

 「サンキュ。
  ちょうど練習始めようとしてた
  んだよね。」

あたしはスキップをするように階段を上がった。

翡波の歌が聴けるんだ。

 「おじゃましますー。」

…今日もあたし達は奏でる。

そして歌う。

やっぱり一人でも欠けてたら変な感じ。

瀬名のベースが聴きたい。

 「ぼんやりしすぎ。」

 「っ!」

ソラ君に鼻をつままれた。

 「頼むぜー、亜緒!」

あたしをバカにしたような笑い方。

…それでも愛しく思ってしまうから不思議だ。