「…よかったの?辻本?」

 「あ?何が?」

俺はカーテンを開けながら言った。

 「…腕のこと。」

 「…今、アイツに言ってどうするんだ
  よ?」

バカか、コイツ。

 「…ゴメン。」

 「なぁ、樹乃?
  亜緒は…もうココには来ない気がす
  る。」

樹乃が顔をあげた。

俺は左腕をさすりながら続ける。

 「アイツは…。」

 「やめてよ。
  亜緒がいなくなるなんて考えられな
  い…。」

 「…悪ィ。」

でも…亜緒がココにいて立ち直れるんだろうか?

逆にこの環境は亜緒を苦しませているんじゃないか?

 「でも…亜緒のことだから…。」

 「…そうだろ?」