「…亜緒が辛いと俺も辛い。」

 「らい…や。」

なんであたしなんかを抱きしめるの?

あたしは…犯罪者なのに…。

 「もう自分責めるのやめろ。
  悪いのはお前じゃないんだから。」

頼哉の静かな声はあたしを落ち着かせてくれていた。

…人ってこんなにあったかくて…優しいんだ…。

 「…ゴメン。
  もう大丈夫…だよ。」

 「…もう少し、このままで。」

 「何言って…。」

ドアがノックされた。

 「辻本さん、検査の時間です。」

 「あ、はーい。」

頼哉がベッドから腰を上げる。

 「あ、あたし…そろそろ。」

 「…そっか。
  また来いよな。」

あたしは何も言わずに頷いた。

…あたし、わかりはじめてたんだ。

この環境はあたしにとってマイナスだってこと。