「ちゃんとやってたか?」

 「当たり前でしょ!」

郁月と瀬名はそんなことを言い合っていたけど…。

あたしはその場に立ち尽くしたままだった。

…ソラ君に触られた頭が熱い。

 「亜緒、これ。」

真瞬君があたしの手に何かを握らせた。

 「あ。可愛い。」

真瞬君がくれたのは八つ橋をモチーフにしたキャラクターのストラップ。

これこそ京都って感じがする。

 「気に入った?」

 「うん。ありがとね。」

笑顔でそう言いながら、あたしは唯の姿を探す。

さっきまでそこにいたはずなのに…唯は見当たらない。

 「…どーした?」

 「なんでもない。
  じゃ、またあとでね!」

翡波の背中を追うようにしてあたしはその場から立ち去った。