「…失礼しまーす。」

 「おお!樹乃!」

あたしは引きずられるようにして病院に連れて行かれた。

 「よ!調子は?」

 「全然大丈夫!」

…あたしは病室に入れずにいる。

 「辻本、これ好きだよね?」

 「おお、サンキュー。
  …そういえば、亜緒は?」

いきなり自分の名前が出てきたのでびっくりした。

 「…学校にはあの日以来来てない。」

 「そっか…。
  亜緒に会いたいな…。」

何言ってるの?

頼哉…。

あたしに会いたい?

バカじゃないの?

 「まぁ、そのうちアイツも来るよ。」

 「そうだな。
  早く来ないかなー。」

頼哉の明るい声にあたしは息が詰まった。