「…亜緒?」

目の前に明がいた。

 「どうかした?」

明の目、真っ直ぐ見れない。

 「…ごめん。
  なんでもない。」

明から逃げるようにあたしは教室に入った。

…なんであの時…。

あたしは頷かなかったんだろう。

ソラ君はカッコイイし歌も上手いし、面白いし…。

…モテるのは当たり前だよ。

東京にいた時だってこんなこと何回も…。

…でも、なんで?

その相手がソラ君ってだけで…。

一瞬でも渡したくないって思ってしまった自分がいた。

ソラ君は彼氏でもないのに。

…あたし、ソラ君のこと…。

まさかね。

好きになってなんか…。