「なんで?
  亜緒は天使の歌声じゃん。」

 「天使って言われてもあんまりパッ
  とこない。」

ソラ君が笑う。

 「こっち終わったぞ!!」

瀬名の呼ぶ声がする。

 「今行く!
  亜緒、競争な!」

 「え?
  あ、ちょっと!!!」

速っ…。

追いつけるわけないじゃん。

 「亜緒、おっそい!」

 「ソラ君が速すぎっ…。」

息切れハンパない…。

学園祭でちゃんと息切れしないで歌えるかな…。

息切れしたらカッコ悪いし…。

 「亜緒、大丈夫か?」

 「ああ、大丈夫。
  ありがと、翡波。」

 「…あとで話がある。」

翡波はそれだけ言ってまたギターの練習をし始めた。

 「…話?」