あたしが軽音部に入部してから1ヶ月が経った。

軽音部は相変わらず。

楽しいっていえば楽しいんだけど。

 「…もう6月か。」

 「学園祭の曲決めなきゃな。」

真瞬君とソラ君がそんなことを話している。

軽音部では皆のことを名前かあだ名で呼ぶ習慣があるらしくて、あたしもそれに便乗させてもらった。

 「でも、学園祭って9月とかでしょ?
  まだ…。」

 「甘い!!!!!」

あたしがそう言うと瀬名が食いついてきた。

 「え?」

 「学園祭を初っ端から盛り上げるのが
  軽音部の役目っしょ!
  そのためには完璧なパフォーマンス
  できなきゃ!」

瀬名がベースを鳴らす。

低くて渋い音。

瀬名のベースを聴いてるとあったかい気持ちになれるときがある。

 「…俺達が作った歌を入れるのはどう
  だろ?」