凄かった
そう言うしかないくらい凄かったんだ
だから、自分の弱さを自覚した
オレは自分の能力に過信していたのではないだろうか?
気付いたことがある
黒々としたあの瞳を見ていると、自分は『何の力もない普通の人間』のように思える
ソレが何故なのかわからないが、とても興味を引き立てられた
きっと、ソレが昴の強さの秘密なのではないかとレオは感じていた
「なぁ、昴のあの動きだけどさ」
レオが楽しげに昴に話し掛ける様子を桃香は見ていた
「〜〜〜〜〜アァ!」
もんもんとソレを見ていた桃香は机に突っ伏す
向かいに座っていた人物はビクリとした
「どっ、どうしたの?桃ちゃん」
「うぅ……七瀬、あたしかなり心が狭い!」
桃香はガバッと顔を上げた
向かいに座った清楚な少女は困ったように細い眉を下げた
「そんなことないよ」
「……そんなことある」
少女、松島七瀬(まつしまななせ)は苦笑した
机に突っ伏してグッと感情を抑えた桃香はどこから見ても恋する乙女だ
思い悩む本人には悪いが……かわいいと思ってしまった


