実の親の記憶なんて、そこに居た全員が殆ど持ち合わせていなかった

一度に全員が連れて来られた

エイムズ研究センター
そこが俺達の故郷だった



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小さな少女が泣いている
少年は困ったように呟く


《泣くなよ》

《うぅ……》


モリソンはメリッサの頭を撫でる
部屋の隅でメリッサは碧瞳を涙で濡らしてうずくまっていた


《こわいの……いっぱい声が聞こえるの》

《……うん》


よしよしと頭を撫でてくれるモリソンの声も、鼓膜に触れるより先に頭に直接届いていた


《モリソンは……こわくないの?》


しゃくり上げながら少女は少女に問う
モリソンもたくさん検査や実験として能力を使っている


《……こわくなんかない》


モリソンはメリッサから手を離して、ぐっと口を引き結んだ
メリッサは能力が上手く使いこなせない
だから、手を離してもモリソンの『声』は聞こえていた

また泣き出しそうになるメリッサに、モリソンはどうしらた良いか分からずおろおろとするしかなかった


そこへキョウスケがトコトコと歩み寄ってくる