「お知り合いだったんですか?」


緊迫の状況を抜けて昴は天城と歩いていた


「昔な」


どこか疲れたように、ポツリと天城は呟いた

夢見は最悪だった
古巣に戻って来るつもりはなかったのに、アノ理事長の指図でデュエルの引率を任されるとは思わなかった


「喧嘩中ですか?」

「……ズバリ聞くな、お前」

「それほどでも」


天城は少し笑ってため息をつく
青柳の態度は掴み所がないがなぜか楽に思える


「喧嘩っていうかな……まぁ、複雑なんだ」

「大丈夫です」


天城が昴を見れば、透き通る黒瞳は真っ直ぐに天城を見上げていた
薄く、少女は微笑む


「大丈夫なんです。天城先生があの人を大切に思っているなら、大丈夫」


思わず立ち止まり、ポカンとしてしまった
今は間抜けな面をしているかもしれない


「どうかしました?」


突然止まった天城を昴は振り返った


「……いや」

「天城先生ー!」


天城を呼びながら誰かが走って来た
それが和泉だとわかる所まで近づいた時、和泉はこけた