「あの」


斎藤に小さく声をかけたのは新参者
ちゃんと顔をあわせて会話するのはおそらく初めてだ


「なんだ、青柳」

「ファーストチルドレンとは何ですか?」

「あぁ」


レストチルドレンが世界にやっと共通的に認識され始めたばかりなのだ
『ファーストチルドレン』という言葉を青柳昴が知らなくても不思議はない

ある意味、ファーストチルドレンという言葉は禁句に近い意味があるのだから


「ファーストチルドレンとはロストエナジー以降、2013年に初めて生まれ、この施設に集められたレストチルドレンのことだ」

「そのファーストチルドレンの1人が天城なのよ」


頼良が横からべったりと昴に絡み付きながら天城を差した
くっつかれるのは昴としてはかまわないのだが、今は夏真っ盛り
少し暑かった

その様子を見て斎藤は小さくため息をついて頼良に注意する


「藤崎!青柳にはお前の体質が効かないとはとはいえ、安全対策には手を抜くな」

「わかってるわよ」


不貞腐れたように頬を膨らませて頼良は渋々手袋を出す