【短編】だから傍にいて、





「自分の意志で?」


「そう、僕の意志で」


「何故?」


「分からない」


「飽きた?」


「さぁ…どうだろう」



何とも曖昧な駆け引き。


ガサリと紙が擦れる音がして、温かみがすっと遠退いた。



「どうするの?」



再度問われた質問に、私は笑った。



「…聞きたい?」







返事は、


なかった。







「―――…その時が来るまで傍にいる」







少し大袈裟に目を見開いて。

ハッと一瞬息を詰めて。




そんな表情を予想していたのに。