【短編】だから傍にいて、





「……………」



頬に柔らかい髪が当たる。

ハァと吐き出された熱い吐息が、すっかり冷たくなってしまった耳に当たる。

首に回された私よりもたくましい腕は、すっぽりと私を温かみの中に閉じ込めていた。



「…もしも、」






嗚呼、

温かい。






「もしも僕がいなくなったら、君はどうする?」






そっと…目を閉じる。


ちろちろと降り続く雪の中、二人は真白な道の上で佇んでいた。






「……いなく、なるの?」



たっぷりと時間をあけてから、ぽつりとそう返すと、後ろであの人が身じろいだ。