【短編】だから傍にいて、





あらぬ方向に言葉を投げ掛けてこられるのにも、もう慣れた。

小さくため息をつく。



とりあえず、寒い。



『そっちは雪が降ってるんだね』



いかにも楽しそうな声が響いて、私は眉を寄せた。


まさか―――、



『明日、雪合戦しようか』


「……………」



やっぱり。

予想通りの言葉に苦笑した。



「風邪引くよ」


『何?したくないの?』


「極力ね」


『それは困ったな…明日の予定が狂う』



予定に雪合戦が組み込まれているなんて、この人の他に誰がいようか。

いつまでも子供みたいな心を持ったあの人に、正直呆れてしまう。



本当に、もう―――。



『あ、今子供っぽいって思ったでしょ』


「……………」



無駄に鋭い子供だ。