【短編】だから傍にいて、





ちらり、



駅の方向に視線を向ける。

ぽつぽつと切れかけの電球がぶら下がる街灯が並ぶ。

だけど真白い雪が降り注ぐ先の闇は、どこまでも深くて。

手を伸ばせばあっという間に飲み込まれてしまいそう。



『僕たちは似てるね』



甘く低い声が耳朶を叩く。

あの人がなぜそんなことを言うのかはわからない。


どこをどう見て、
一体どうして、


そんなことを言ったのだろうか。



不快ではないけれど嫌。

だけどその一言に、心が震えたのは事実。





RRRRRRR――――、




夜の闇を、私の思考を切り裂くかのように高い電子音が辺りに鳴り響いた。

小さく体を震わせ、白い携帯を耳に当てようとして――気づく。

そっと耳あてを外し、ひとつ息をついてからボタンを押した。