【短編】だから傍にいて、





「……そう言うと思った」



そこには笑顔しかなかった。

私の予想は外れた。

それはもう見事に。



あの人の予想は外れなかったのに、


何だか悔しくなって、手にしていた紙袋を奪い取る。



「あ、ちょっと」


「フルーツタルトじゃないんでしょ?」


「さっき言った通りだよ」


「許さない」


「シュークリームも好きだろ?」


「それは三番目、」



歌うようにそう言うと、あの人は笑った。



「三番目はシュークリーム。二番目はフルーツタルト、」



すっと目の前に差し出された大きな掌。



「…じゃあ、一番目は?」



何もかも見透かしたような笑みを浮かべて、私を見つめる。



…仕方ない。

今日は予想の範囲内にいてあげる。



「もちろん――――…、」




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