大好きだった・・・大好きでしょうがなかった、あの頃の想いを...私は―――



・・・忘れようとしていたんだ....




私達は玄関に向かった。



トボトボと重たい足取りで...





この部屋から出るために、私は靴をはく。





少しの罪悪感と...少しの温かみ




私の事を励ましてくれる人がいた。


私の事を見守ってくれる人がいた。



間違った道へ進もうとしていた私を....助けてくれた。




――ギィィィ



ドアを開けた途端、冬の冷たい風が頬をかする。




「俺に好かれた、たった1人の女だ、お前は。誇りにもてよ!...寂しくなったら、悲しくなったら、泣きたくなったら、いつだって助けてやる。いつだって傍にいてやる。・・・・そんじゃ、隼の事...頼むぞ。」






「....ありがと・・・・新太....」




優しい新太の笑顔を見たら・・涙がこぼれそうになった。




慌てて目頭を押さえる。




「だから・・・・泣けって!!我慢するな!!泣きたいときに泣け、愛したいときに愛せ...それで、いいんじゃね?・・・ほら、外寒いぞ?送った方がいいか?」



そう言ってマフラーを私にかける。


ふわふわの真っ白のマフラーだった。






今は1人が良い...その方がじっくり考えられる気がする。


私はマフラーに顔を埋めながら、左右に顔を振った。






優しい気持ち...優しい言葉...全部全部、変わってないね新太。





変わってしまったのは・・・私だけみたい....





「・・・ありがとう。そんな言葉だけじゃたりないけど.....ありがとう」





「・・・どういたしまして。・・・・気を付けろよ?」





「...うん。・・・またね」




そう言って少し微笑むと、ドアが閉まる。



――バタンッ!!


この音が静かに心に響いて...