「確かに、忘れることが出来たら...それはそれでいいのかもしれない。・・・でも、さゆりは違うだろ?...隼、一筋なんだろ?」





「・・・うん...」





「だったら、ダメだ。忘れちゃ...ダメだ。」



私の瞳をしっかりと見て言う新太。




もう・・・隼ちゃん以上に好きになれる人なんて...この世にはいない。



世界でたった一人だけ....私は隼ちゃんを愛しているから。




「俺が言えるかどうかは分かんねぇけど..よ。本当に人が亡くなるって言うのは、その人の事を誰も思い出す人がいなくなるという事、誰もが...その人の事を忘れてしまう事だと思うんだ。」





「...新太」




「だから、忘れないで居てくれや。俺達の大切なアイツを。・・・・ほら帰れっ明日はお前達の誕生日だ...って、もう今日か」





「誕生日・・・?.....えっ!?えっ!?」





「ちょ・・・忘れてたのかよ?」




「いや・・・うん、隼ちゃんと同じ誕生日って事は頭にあったけど....。そっかぁ・・・私は誕生日に、大好きな人を忘れようとしてたんだね...」



途端...昔の記憶が鮮明に蘇ってきた。





いつも気付いたら目を追ってた。


でも、視線がぶつかるたび...慌てて目をそらす。





何度も...何度も....それが止まらなくなってくるの





視線がぶつかるたび、目を追うたび、見つめるたび



キミの事が好きでどうしようもないって...そう思った。




急に私を向くキミ



とっても嬉しいのに...私は、すぐに目をそらすの。


見つめあってはいられない....



私の想っていることが、キミの瞳にバレちゃいそうで...。