何でも新太には・・・お見通しなんだ...
「・・・何で...知ってるの?」
「ははっ、やっぱり当たりか。今日ぐらいは忘れようって思って来たんだろう?」
「・・・・うん」
「俺は、来ないかと思ってたんだよ。さゆりは。」
「えっ!?そうだったの?」
優しく微笑みながら私を見た。
その瞳は、温かく・・・・日だまりみたいな瞳
「さゆりの事、大好きだった。初めて本気で人を好きになれた。・・・でも、それと同じくらい隼の事も好きだった。バカみたいに素直で正直で裏表がない男。....こんな男、見たこと無くてさ」
・・・新太...
バカも“超”が付くし、正直も“バカ”が付くし...本当に裏表が無くて...誰とでもすぐに仲良くなれる――それが、隼ちゃんだった。
カッコ良くもないし、いつも強がりだし、勉強だって特にできないし、背だって普通だし、モテるわけでもない...
でも、そんな隼ちゃんに私は惹かれたの
「好きな人の事、忘れちゃいけねぇと思うんだ。いくら死んだって会えなくたって・・・自分の心から消し去るようなこと・・・しちゃ、ダメだ。」
「・・・うん...うん....」
途端、胸が熱くなってきた。
ぎゅーっと締め付けられるような...
何もかもを見透かされているような....。
「キスして・・・ごめん。自分の気持ち、抑えられなかった。後・・・隼の事、酷く言って悪かった...。」
「・・・・いいよ。悪いのは新太だけじゃ無い、私が悪い部分もあるから。これで、お互い様。・・・気付いてあげられなくて、ごめん。」
何年ぶりかのケンカ
あの時、分からなかった、伝えられなかった想いが・・・今、こうして分かりあえた。