「おはよう、長谷川さん。」




「おはようございます、結城さん。」




オフィスに入るなり、結城さんから元気のいい挨拶。




あ、私の名字 長谷川。




普通な名前、だと思う。




「はせちゃん、今日も美しいよハハハ!」




さっきの律儀な結城さんは何処………、




私を“はせちゃん”と呼ぶ結城さんはいつものチャラ男に戻っていた。




営業部チーフ、結城雅也。




レイヤに続き、社内で人気の結城さん。




レイヤとは真逆のワイルドさ溢れる肉食系美男子。




しかも、プレイボーイときた。




泣かせた女は星の数。

勿論、抱いた女もそれに比例する。




そして、独身な結城さん。




レイヤと親友な結城さん。




社内トップ2を狙う女子は多いのだ。




「はせちゃん、今日飲み行く?」




「いや、うちペットがいるんで。」




「ペット? あぁ、あのでっかい図体の! アッハッハー、了解! またねん!」




結城さんは元気に給湯室へと入っていった。




私の飼ってる、図体でかいペット“レイヤ”。




その言い回しに気付いた、結城さん。




そう、結城さんだけは知ってる。




私とレイヤのこと。