ネクタイを選び、ズボンの裾を調節してもらう。

すると、ズボンの裾上げがいらないくらいに長い足の男が颯爽と二人の元にやってきた。



「ユカリ、淳一のスーツは選んだか?」

「ゼン所長! 選びましたよ。バッチリです。淳一くん何着ても可愛いから、楽しかったです」


ゼンはあからさまに面白くなさそうな顔をして淳一を睨みつけた。



「ふん。ユカリさんにネクタイ締めてもらった」


淳一が自慢気に言うと、ゼンは舌打ちをして淳一をネクタイを引き抜いた。


「淳一が毎日毎日同じスーツでくるから、俺の秘書使わせてやったんだろ。ネクタイはテメーで締めやがれ」


「ふざけんな! 俺はフック式ネクタイしかできないんだよ!」



「偉そうに言うな!」



ユカリが「まあまあ二人とも」と穏やかに言うと、男たちは互いに睨み合いながらも静まる。