お風呂場は台所を出て、廊下の突き当たりの右手にあった。
脱衣所には洗面台と洗濯機と洗濯カゴがあり、洗濯カゴにはいくつか服が入っていた。
(誰のかな?男の人のもあるし、女の人のもあるけど。)
お風呂場のドアを開けると、シャワーがあり湯船は広めで綺麗である。
とりあえずシャワーを浴びたいと思い蛇口を捻ってみたが、いっこうに水が出る気配がない。
湯船の方には蛇口はなく、お湯を入れるためのボタンはあったが押しても電源が入らないので、どうやってお湯をいれるのかが分からなかった。
(台所はお湯が出るのに・・・)
汐音はガッカリして洗面台で歯を磨いた。
歯ブラシは何本かコップに入っていた。
洗面台に置いてある新品のピンク色の歯ブラシを使い、歯磨き粉は半分ほど減っていたが、清潔そうだし問題ないだろうと思ってそれを使った。
(この洗面台もお湯は出るのね。お風呂場にこそ、真っ先にお湯が必要なんじゃないかしら。)
少しイライラしながら歯を磨き終わると、お風呂場の横にあるトイレに行き、次は廊下の突き当たりの部屋に入った。

部屋の中には本がビッシリ詰まった本棚がたくさんあり、奥に机とソファーが置いてある。
(難しそうな本ばかり・・・読書室なのかな。漫画とかないのかな。それか恋愛小説とか雑誌とか・・)
探してみると、ここ最近のファッション雑誌が何冊かあったので、それを抱えて部屋を出た。