それから、妃奈子とメアドと携帯番号も交換した柚は、視聴覚室へとやって来たのだけれど…、
「す、すご…。」
『うん、そうだよね。』
視聴覚室では、今週の土曜に行われるポスター発表のために、化学部員全員がそのリハーサルをやっていた。
柚と妃奈子はまだ中には入っていないのだが、どのポスターを見ても立派なものばかり。
『どうする?中に入る?』
「…ううん。いい。」
『そう?』
「うん。」
一人ひとりの真剣な顔。
それらを見ていると、柚は部活には入らなくていいと思った。
真剣に向き合えるものなら…私にもある。
学生としては当然のことだけど…まずはそこから。
勉強から、始めよう。
「…妃奈ちゃん、ありがとう。私…頑張る。」
『え…?』
「勉強、頑張るよ。」
『化学部は…?』
「入らない。まずは勉強する。」
『…そっか。』
妃奈子は柚の決意に何も言わず、頑張れと心の中でエールを送った。
視聴覚室から立ち去る柚は、さっきよりも大人に見えた。

