『私もね、熱中するものなんてないの。今まで。』

「え…!?」

『プッ、そんなに驚く?』

「うん、だって…!」


いちいちリアクションが大きい柚に、妃奈子は笑う。


『フフッ…私も、柚ちゃんと同じだよ?バカで、ドジで、不器用で。頭の悪さは…特にひどい。実は私、去年は留年しかけたの。』

「ぇえっ!?」


りゅっ、留年って…!!

柚でさえも留年の話は持ち上がらなかったのだが、今隣にいる妃奈子が留年候補生だとは思わず、廊下に響く大声を出した。


『きっと、柚ちゃんより私の方が要領悪いんだよ。でもね、今は…熱中できるものっていうか、夢中になる人なら、…いる、かな///』

「夢中になれる、人…」

『うん///』


頬を赤く染めて恥ずかしそうに頷いた妃奈子に、柚は、これは想い人がいるんだな…と、少し羨ましい気持ちになった。

私も…恋の一つや二つ、してみたいなぁ…。


「その人は…妃奈子ちゃんのこと、どう思ってるの?」

『っ…た、大切に…想ってくれてるの…///』

「・・・!すごいっ…!妃奈子ちゃん、良かったね!!」


知り合って間もないのに、柚は妃奈子の恋の成就を自分のことのように喜んだ。