――『ゆーずっ!』

「!せ、聖花ちゃん…。」


課外が終わり、教材をしまっていた柚に声をかけたのは、柚の友達・松浦 聖花(マツウラ セイカ)。

柚にとって、聖花は良き友人であり、姉のような存在である。


『何よ、暗い顔して〜』

「だって…」

『遅刻したこと、気に病んでるの?』

「ん…それもあるけど、」


先生から呼び出しなんて…

柚は嫌な予感を感じていた。


「今日、なんか…起きそうなんだよね…」

『起きそうって…何が?』

「それはっ…分かんないけど…」


胸がザワザワするような感覚が柚を襲った。

こんな時、いつも決まって不吉なことが…――


カツッ

「!?」


突然、柚に聞こえたゆっくりとした足音。


カツッ

「っ……」

『柚?』


来る…

何かが…


カツッ

「来る…」

『え?』


どうやら、何かを察しているのは柚だけらしい。

他の人達は、いつものように談笑したり、笑っているのだが、

柚だけは、怖い顔して、何かが来ると言っていた。