――『もうっ!何なの、あのクソババァっ!!』

「せ、聖花ちゃ……」

『だいたい柚も、何で本当のこと言わないの!?』


古典の授業が終わった後の10分休み。

柚の席にやってきた聖花は怒り狂っていた。


「そ、それは……」

『それに!あの男も何の弁解もしないで!元々柚を教室から連れ出したのはアイツじゃない!それなのにっ!』

「ぃっ、いいの、聖花ちゃんっ!そんなに怒らないで…ッ?」

『ぁ、ごめん…。』


柚の一言に、一旦、聖花は落ち着く。


『でもさぁ…やっぱり納得いかないって。』

「………」

『伊津くんと、知り合いなの?』

「へっ?」

『だって、変じゃない。今日転校してきたばかりの人が、柚の名前知ってて、教室から連れ出すなんて…、』

「………」


聖花の的を突いた言葉に、柚は何も言えない。


『話せないことなの?』

「…ぅうん…。」


隠そうと思っていたことは、そう簡単に隠せないらしい。

柚は伊津とのことを、聖花に話そうと決めた。


「ぁのね、聖花ちゃん、」

『ん?』

「話すと長くなるから…お昼休みでも良い?」

『……うん。でも、無理に話そうとしなくていいからね。じゃ、行くね。』


優しい笑顔を向けた聖花は、自分の席に戻って行った。