幼い頃からそうだった。
大人は勝手に柚と伊津の関係を勘違いする。
柚が、伊津に取り入っている、と…。
そして、大人は伊津の言葉をすぐ信じる。
頭が良くて、良い子だからと――…。
鈍感で、ちょっと天然でバカな柚が何を言おうと、信じてはくれない。
だから、柚は諦めていた。
『…森山さん!さっさと席について!』
「……はい。」
キッと山中に睨まれ、柚は席に戻る。
伊津はいつの間にか、もう自分の席についていた。
『…では続きから。』
イライラを含みながら続きの授業を始める山中。
黙々と古典の教科書を開き、ノートを取る柚を、聖花が心配そうに見つめていた。

