『んじゃ、早速言いに行くか。』
「えっ?」
――『小柚の友達に、学校案内は一人でやるって言わなきゃだろ?』
伊津は柚から離れると、柚の腕を掴んだ。
そのまま柚は伊津に引っ張られ、屋上を後にする。
伊津に引っ張られながら、柚は嫌な予感を感じ取った。
伊津に対する嫌な予感は必ず当たってしまうから…――
ガラッ
『森山さん!どこ行ってたの!?もう1時限目始まって……って、伊津くん!?』
教室のドアを開けると、1時限目の授業だった古典の先生が驚いた。
名前は山中。
ド真面目で、ネチネチうるさい女教師だ。
「す、すいません…。」
『はぁ…森山さん?あなた、ここは学校よ?色恋沙汰をするようなところではないの。どうせ、伊津くんも森山さんに付き合わされたんでしょう。伊津くんは良いわ。森山さん、あなたは放課後、居残り掃除をして帰って。良いわね。』
「っ……はい…」
山中が勘違いをしていても、柚は何も言わない。
柚は分かっているからだ。
弁解したとしても、誰も信じてくれないことを…――。

