目を開けると、金髪のイケメンが、私の顔を覗き込んでいた。

 だ……れ……?

「気づいたか」
 イケメンが声を出す。
 綺麗な声…

「あっ」
 思い出した。

 この人、不良だ。
 私は倒れて、保健室に行って、そしてこの人に会って、また倒れて。

 心配してくれたのかな。

「入学式、行きたいのか」
「うん」

 私が答えると、彼は困ったような表情になった。
「もう、終わりそうだ」

「えっ」
 もう終わる?
 入学式が?
 私、そんなに長い間、眠っていたの?

「ごめんな。早く起こしてやれなくて」
 イケメンが謝る。

「そ、そんな…」
 うろたえる私。
 謝られても困る。

「私を起こしちゃ悪いと思ったから起こさなかったのに…謝らないで」

 私が必死でそう言うと、イケメンは笑った。
「優しいんだな」
「いや、優しいなんて…」
 私はあわてて首をふる。

「いや、優しいよ」
「でも私、素直になれないから…」

 私が言うと、彼の瞳の色が変わった。
「お前…素直になりたいのか」
 私はうなずく。

「そうか……」

 イケメンはうつむいた。

 そしてしばらくして顔を上げた。
「俺の、彼女になってくれないか?
 俺も…なかなか…
 素直になれないんだけど…
 お前といると…なんか
 素直になれそうな気がするんだ…
 だから一緒に…本当の素直を、
 目指さないか…?」