目が覚めると、私は保健室のベッドに寝かされていた。
 ベッドは周りをカーテンで囲われていて、外の様子は見えない。
 
 なんで入学式の日から、ドジやらかしちゃったんだろう。
 ベッドに腰かけながら、心底後悔。
 
 私はいつだってそう。
 ドジで、人に気持ちを伝えるのがニガテで、しかもごめんなさいもありがとうもいえないほど、素直じゃない。
 それで家に帰ってから一人で落ち込んで、一人で泣いて……
 
 ううん。それも今日から変えるんだ。
 プルプルと首を横にふって、はぁっと息をつく。
 そして私は立ち上がり、カーテンに手をかけた。
 ジャッ
 大きな音をたてて勢いよくカーテンを開く。
 すると……
 
 
 「…………え?」
 私はその場に固まってしまった。

 私の目の前にいたのは……
 「外国人?」
 しかもかなりのイケメンだ。

 「お前も…サボりか…?」
 イケメンが綺麗な声で、ぶっきらぼうに言う。
 お前も、ということは……彼、サボりですか!?
 しかも日本語!? 

 「いや…別にサボりじゃ……」
 不思議と声が高ぶる。
 「正直にいいなよ。お前も、サボりなんだろ」
 「いや、ちが……」
 「素直になりなよ」
 彼は笑う。
 
 素直?
 素直ってそういうものなの?
 それじゃ、ここでうなずけば、私は素直になれるの?

 
 私は意を決して、そっとうなずいた。