恋・光る

 ふわりと流れる春の風に、私は微笑む。
 今私は、私立光里学園の校門をくぐろうとしていた。

 
 私は坂口もえぎ。12歳。今日から、この光里学園中等部の1年生になる。
 自分で言うのも気が引けるけど、性格はいたって普通だと思う。
 いや、少しひねくれているかもしれない。
 だって、小学校のときの担任に言われた言葉№1は、「ごめんなさいが言えるようになろうね」なのだから。
 
 小学校時代。
 私の人生でもっとも無意味な6年間。
 ひねくれた性格のせいなのか、いじめを受け、身も心もボロボロになりながら、必死で小学校に通い続けた6年間。
 それも、今日で完全におしまいだ。

 うれしい春の風に、弾む心。
 舞い踊る桜の花びら。
 そして、私の過去を知らない人々。

 ここは楽園だ。