恋・光る

 だいぶ、時間が過ぎた。

 
 私の涙もほとんど、おさまっていた。

 
 聖夜が、静かに言った。

「ほら、顔を上げて」

 私はゆっくりと顔を上げた。



「綺麗……」

 私は思わず息を呑んだ。


 そこは、小さな土手だった。

 川の向こうのまっすぐな地平線に、まんまるな夕陽が、静かに沈んでいた。

 
「世界で一番、夕陽が綺麗なところ」

 聖夜が優しく、笑った。

 
 私も、笑った。


 今度の笑顔は、心からの笑顔だった。