「小池君、おはよう。今日は眼鏡してないのね」
私はわざと彼の顔を覗き込んで言った。
その時の小池君の顔。
真っ赤で、驚いていて面白かった。
でも、眼鏡の無い彼って・・・・。
私も驚いたのよ、君が余りにも素敵で・・・。
その時の私はそんな事口に出来なかったし
こんなドキドキは、一時の感情だと思っていた。
二人で肩を並べて聾学校へ向かう。
ここからそう遠くはないけれど
何も話さないでいるには辛い距離だった。
私の頭が小池君の胸のあたり・・・。
瞬も背が高い方だったから一緒に歩いたら
こんな感じかな?
樹里ねえ、早く、早くって私の手を
引っ張っていった瞬。
私は小池君に瞬の姿を重ねていた。
瞬がもうここに居ないのを
私は忘れそうになった。
小池君のせいで忘れそうになった。

