「さて、それじゃあそろそろ授業の時間だ。遠野、遅れるなよ。」


そう言って先生は立ち上がり、あたしの頭を軽く撫でてから、研究室を出ていった。


あたしは少し、立ち尽くして、余韻に浸っていた。


「……きっと今日も、良い日になりそう。」


そう呟いたその時はまだ知らなかった。


そんなあたしを羨望の眼差しで見るいくつもの影を。