「バンド、やろっ!」


「……はあ?」


あたしは遠野 蓮華。


ただいま勧誘中です。


「……何を言い出すかと思えば。まだ寝ぼけてんのか?」


ぶっきらぼうにそう言い放ったのは坂木 睦月。


細身で背が高く、天然パーマな頭をしていることと、初日遅刻組と言うレッテルをつけられたせいで、周りから“遅刻王子”と呼ばれている。


「やろーよ!絶対楽しいからさ!」


「……“遅刻王子”と“寝坊姫”のバンドって想像出来ないけどな」


“寝坊姫”はあたしのあだ名だ。


「むー…嫌ならいーけど。別の人探すし」


「……別に嫌だなんて言ってねーだろ」


見事釣れました。


素直じゃないんだからなーまったくもう。


「やった!それじゃあ睦月はベースね!」


「決まってんだ。僕の意見聞く気はないわけだ」


「嫌なの?」


「……別に」


……単純なやつめ。