「橘さーん」


遠くからウチを呼ぶ声が聞こえた。


振り返ると、坂木が手を振りながらこちらに向かって走ってきていた。


「や、おはよう!」


そう言って少年のような笑顔を見せた彼は、異性で一番の親友だ。


「おはよー。今日は遅刻しなかったんだ」


「奇跡でしょ!めっちゃ走った!」


言われてみれば、坂木は少し息を弾ませて額にうっすら汗をかいていた。