バンド結成当日。


僕らは先輩たちと初めて顔合わせをした。


緊張する橘と千尋を横目に、僕と蓮華はあっけらかんとしていた。


色んな先輩の自己紹介を聞く中で


一際何故か印象に残った人がいた。


木津、と名乗ったその少女は


1つ年長とは思えないほど背が低かったが


幼さの中に、何か妖しさのようなものを見え隠れさせていた。


そして何より彼女の目は


僕の横に立つ蓮華に


微かな嫉妬を覚えているように見えたのだった。