憲吾の車が、自宅方向に曲がるまで、晴香は見送っていた。


憲吾がいなくなると、急に寂しさと不安が押し寄せる…


母親の顔に戻らなければ。


そう思いながら、預かっている実家の鍵を静かに開ける。


二階に上がると、元々晴香の部屋だった一室に、布団が敷いてあった。


世利は下の母達の部屋で寝ている。


久々に一人で横になる布団は、とても広く冷たく感じ…世利が横に寝ている温もりをあらためて感じさせられていた。


世利…ママを許してね。


ママはあなたを生んだ事に後悔はしていない…だけど、今の祐輝を愛してはいない…傷ついた心を戻すことはできないから…


そんなことを考えてるうちに、いつの間にか深い眠りに落ちていた。