「実家にいるのか？世利は？今日早く帰るって言ったよな。迎えに行くのか？泊まるのか？」


少し怒り口調の祐輝の声が、耳に刺さるように響く…


次々と投げかけてくる言葉に、何て答えたらいいか悲しくなっていた。


「ごめんなさい…何だか調子が悪いので、今日は泊まるね。明日帰ります」


いつもと違う、よそよそしい感じになってしまったのを、夫は変に思っただろうか…


隣に憲吾がいると思うと、いつもの自分を知られたくなくて、話し方さえ変わってしまう…


だって、あたしは憲吾が好き…憲吾が悲しむ顔なんて見たくなかった。


あたしは、こんなにも夫より憲吾を愛している…


「お前、何か話し方おかしくないか？誰かいるの～そこに…」


「いないよ…別に変じゃないし～明日、昼間帰るから心配しないで。大丈夫だから」


「まぁいいわ。わかった。俺も一人でゆっくり休むよ。まず調子悪いなら早くやすめ～」


「ありがと…じゃあ…」


素っ気ない様子を気がつかれただろうか。


内心ドキドキしながら、携帯を切った。