「何でそんな言い方するかな~!それじゃあ父さん怒るだろう!」


「あんたって、どこまでお人好しなんだい?妻が浮気してるってことは、あんたがバカにされているんだよ!」


「とにかくもういい!車に乗って。父さん待ってるから、帰るよ」


母親は、ブツブツ言いながら、しぶしぶ車に乗り込む。


祐輝は母親のせっかちな性格が嫌いだった。


人の気持ちも考えずに、いつもズカズカ入ってきて、気持ちを乱されて、母親のいいようにされてきた。


結婚すると報告に行った時にも、子供が先にできちゃうなんてね~世間体が…だの、晴香の素性をいいだけ聞きまくる。


子供が生まれたら、名前がどうだの…


とにかく首を突っ込んできて、そのたびにイライラさせられた。


晴香のことは、まだ憲吾という男と関係を持ったかという確信にはふれていない。


晴香の気持ちを考えてやらなかった、自分にも責任があると思っていた気持ちが、かきみだされることでまた、怒りの気持ちにボッと火がついてしまう。