母と晴香の会話を、不思議そうな顔でながめていた世利を、晴香は自分のひざにのせてあげた。


「世利~もう少ししたら、ママ抱っこしてあげられるから、待っててね」


世利の柔らかなほっぺに、晴香は触れながら話す。


世利は嬉しそうに、ママの胸に顔をうずめて、ママのあたたかさを感じていた。


上を見て…晴香の顔を確認して、目が合うとニコッと笑い、また顔をうずめる…


世利を見ていると、何故だか心が痛む…


世利から実父を取り上げて良いのだろうか?でも…幼い世利には母が必要…


じゃあ、もう一度祐輝とやり直す?


今の時点では、憲吾への気持ちを抜きにしても、全くそれは考えられない…


どうせ祐輝が反省したと言って頭を下げて来たって、それは一時の感情であり、また自分を傷つけるに決まってる…


あたしの気持ちは変わらない…


あたしが幸せだったら、世利もきっとわかってくれるって信じてる…


あたしは祐輝とは離婚する…