スパイシーな彼~あなたとの甘く優しい瞬間

でも…


晴香の傷つけられた心は、簡単に祐輝を許すことはできなかった。


祐輝にまとわって、抱っことせがむ世利を見ていると、胸が痛くはなるが、祐輝の本心は読めなかった。


「晴香…一緒に病院だけ行こう…」


「本当に大丈夫だから~」


晴香の母も、どうすべきか考えていた。


晴香の自宅は病院に行く道…ここまで祐輝が言っているのに、嫌がりすぎるのも、逆効果のような気がしている。


「じゃあ…乗せてだけ行ってもらおうよ。祐輝さん帰り道だろうし…ねっ」


「はい…そうさせて下さい」


祐輝は、朝母親が起きてから、ずっと言っていることを無視してきた。


晴香の実家には自分もついていく!帰るなら一言言いたい…


帰るのは、もう少し後でもいい…


とにかく、自分が仕切りたくて、祐輝を自分の思うようにしたくて、仕切りに話す。


でも、無視して


「戻るまでに、帰り支度をしておいて…」


とだけ言うと、自宅を出てきた。