「うん…」


晴香は憲吾に心配させたくなくて、微笑みながら答えた。


でも、頭の中は不安でいっぱいで、恐怖感と闘っていた。


眠りに落ちようとすると、目の前に祐輝が出てきて、襟首を掴みにくる…


また眠りに落ちようとすると、背後から腕を捕まれ、乱暴に自分に多いかぶさろうとしてくる…


そして、起きている時の不安…


世利が、祐輝に連れていかれたら、どうしよう…


考えるば考えるほど、祐輝が怖くて、眠りにつきそうになる自分を必死に起こそうとしてしまう。


憲吾が、髪を触ってくれて、左手を絡ましてくれているのも、目を覚ましたら、祐輝になっているのでは…


目覚めては確認して…また眠りに…繰り返す不安定な気持ちに、どんどん気持ちは落ち込んでいく…


でも、心配をかけないように元気に見せる、真逆の心が、晴香を苦しめていた。