皆が寝静まり、深夜になると、晴香は逆に眠れなくなっていた。


静けさが怖いのか、明かりを消すのを怖がって、憲吾が傍にいても眠れない様子で、布団の中に入るものの、座って寝ようとはしなかった。


憲吾は、晴香を左腕で優しく包むと、静かに小さな頃の話しをはじめた。


「晴香…覚えてる?晴香と俺が小学校に入った頃、晴香に意地悪する男の子がいて、晴香俺のところに泣いてきてさ~クラス違うのに、先生に無理言って、俺のクラスで、勉強したりしてて…」


「うん…覚えてる…あたし、あの子のこと嫌いだった…」


「でも、あの子…転校して行った…淳だっけ~あいつ晴香のこと好きだったんだよ。知らなかった?」


「嘘…知らなかった…」


「あいつ、俺と晴香仲良くしてるの知ってて、転校する時に、晴香と仲良くしてやってね。って言ったんだよ…」


「そうだったの…」