晴香の母が、皆に症状の説明をしていた。


世利が、オママゴトセットを引きずって、憲吾の傍に笑いながら持ってきた。


「世利ちゃんもママ心配だね~でも大丈夫!兄ちゃんがママ元気にしてあげるからね…オママゴトで遊ぶかい…おいで~」


憲吾足元に、チョコンと座った世利…小さい頃の晴香によく似ている。


可愛い瞳からは、今起こっている両親の状況など、知ることもなく、ただあどけなく笑いながら、喜んでいる…


この子は、自分の父親といる方が幸せになれるのだろうか…実の父親から世利を離してしまって良いのだろうか…


そこだけは、憲吾の中の迷いにはなっていた。


ただ、晴香と世利を引き離すことだけはできない…晴香にとって、世利と離れることは、自分の一部を取られるのと一緒なのだ。