「……晴香を頼みます」


祐輝は、父と母…そして憲吾に頭を下げると、静かに帰って行った。


憲吾は、最後まで自分達の核心には触れずに、晴香を想い、隠し通してくれた。


晴香の呼吸は、薬を飲ませても、落ち着くことなく、荒い呼吸が続いていた。


父が世利を見ているということになり、救急病院に連れて行くことになった。


憲吾の両親を心配した母が、憲吾の自宅に電話を入れ、憲吾の両親も父のところに来て、話しを聞いてくれてることになっていた。


呼吸が苦しい晴香を、憲吾は、腕に抱え、車の後部座席に寝かした。


母は、助手席に座りながらも、後ろを向いて、晴香を気にしていた。


病院に着くと、母が受け付けを済ませ、タオルケットに包まれて、憲吾に抱かれた晴香は、グッタリと、呼吸だけが荒く苦しそうにしていた。


「柴崎さん~」