晴香の呼吸がまたおかしくなっていた。


父が晴香の母を呼び、安定剤を持ってくるように叫んでいた。


その様子を見て、祐輝は動揺していた…自分でどうしたらいいかわからなくて、中腰になり、ただオロオロしている。


母が持ってきた薬を、憲吾がす早く飲ませた。


布団に寝かせて、優しく頭をなでながら…


「大丈夫…今病院に行くからね。心配しなくていいから」


荒れて苦しい呼吸の中で、しっかり憲吾の手を握りしめている左手に、祐輝は嫉妬しながらも、何もできない自分に、歯がゆさを感じていた。


「祐輝君、晴香、今普通じゃないんだよ。見てわかるだろう。晴香も必死に何かと闘ってる。だから、少しだけ時間くれないかい?祐輝君ばかり、攻める気持ちはないよ…ただ、晴香が落ち着くまで、頼む。時間を少しくれないかい?」