スパイシーな彼~あなたとの甘く優しい瞬間

祐輝は何も言わずに、晴香を見つめていた。


憲吾の腕に包まれて、子供のように泣きじゃくる晴香…自分には見せたことのない姿と、指に巻かれた包帯…紫色になって、腫れている手首を見て、自分が犯してしまった罪の重さに、心が傷んだ。


「晴香…ごめん…本当にごめんな。俺、結婚して、家庭を持った自信に、ただ理想の家庭像を描いて…晴香をしぱりつけようとしていたのかもしれない…晴香が頑張ってるのを、当たり前だとばかり思っていたのも確かだよ…晴香を愛していたか?って聞かれても、ただ生まれてくる子供のことと、家庭を持つという自己満足に、愛情という言葉はなかったのかもしれない…今、晴香を愛しているか?って聞かれても、愛してるっては言えない…家族として愛してはいても、一人の女性として晴香を見てはいない…だからって、他の女性に憧れてるわけでもなく…自分の地位と名誉のために、家族を守ろうとしていただけかもしれない…」