スパイシーな彼~あなたとの甘く優しい瞬間

「晴香、少し何も考えないで休みな。俺横に添い寝してあげるよ」


枕を晴香の枕の横に並べて置くと、憲吾は横になって自分の腕で優しく晴香を包み込んだ。


空いているもう一方の手で、優しく頭をなでながら


「夜病院に連れていってあげるからね、何も心配しないで…俺傍にいてあげるから。今度あいつが晴香に何かしようとしたら、晴香に指一本触れさせないから…安心してねなさい」


薬が効いてきているのか、晴香は落ちるように眠りについた。


あんなにひどい男だとは思ってもいなかった。


もっともっと早くに気が付いて、こんなふうに傷付く前になんとかしてあげれば良かった。


憲吾の後悔は心の中で膨らんでいた。


そして、晴香の心がこんなになるまで傷つけた祐輝を許すことはできなかった。


下の部屋で電話が鳴っている。


晴香が起きないように、そっと耳に手をおおい聞こえないようにする。


一度切れてまた鳴っている。


晴香の両親なら、自分の携帯にかけてくるはず…


もしかして


祐輝…?